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正月休みの間、夜中にテレビ放送していた映画、「夕凪の街 桜の国」。

前から何とは無しに気になっており、いい機会なので録画しておいた。

途中で寝てしまってもいいやーと見始めたが、話が進むにつれ、
その内容に眠るどころではなくなり、ついには仕舞いまでじっくり観てしまった。

何て映画を見てしまったんだろう。
そして、なぜこのような映画を夜中なんぞに流したんだろう。
これはゴールデンに流すべきだよ。

ストーリーは二部構成。

前半は「夕凪の街」、
終戦から13年後の昭和33年の広島の街が舞台。
かろうじて原爆から生き残った26歳の女性・平野皆実が主人公。

後半は「桜の国」、
平成16年の東京が舞台。
28歳の女性・石川七波がひょんなことから広島を旅する。

皆実さんを麻生久美子さん、
七波さんを田中麗奈さんが演じていた。

よくある原爆を扱ったモノとは一線を画する作品だった。

ほとんど悲惨なシーンはなく、物語は淡々と穏やかに進む。
一見何のつながりもない東京と広島が、ラストに向けて
散らばっていたジグソーパズルのピースがはまるように、つながっていく。

見終わった後、感動というより何か心に重い疑問を投げ掛けられたような気がした。

戦争を扱った作品で、私は珍しく泣かなかった。
泣かなかったけれど、深い深い何か暗闇を見てしまったような、でも何か答がわかったような、
自分でも何言ってんだかワカランけど、感情が混濁してしまった。


翌日、矢も盾もたまらず図書館へ行き、原作のマンガとノベライズを借りてきた。

マンガは思った以上に薄くてびっくりした。
内容はやはり淡々としており、一気に読めた。
映画は多少脚色もあったがほぼマンガ通りに進行していた。
でも、マンガのほうがもっと淡々とし、且つ強烈だった。

なるほどーと思いつつもう一回読み直した時だ。

「夕凪の街」の最終ページで、あることに気づいた。
最後の2ページのコマは、客観的な視線でなく、皆実さんの目線で描かれている。

マンガにはあり得ない、ほとんど真っ白なコマ。
それがかえって強調している。
皆実さんの薄れゆく視力、そして消え逝く気力・・・。

途端、雷に打たれたようにスイッチが入った。
急に、せきとめた涙が決壊したように噴出してきた。
それからは滂沱の如く、もう…涙がこぼれるというより慟哭、しゃくりあげてしまった。

なぜかって自分でもわからない。
悲惨な残酷なシーンがないだけに、解釈は読む者にゆだねられる。
私は何かに触れてしまったんだろうか。
あんまり涙が出すぎて、翌日は難儀した。

ただ、少しだけ何か掴んだような気がする。



私達は今、歴史としてどのような過程で原爆が落とされたか知っている。
昭和20年8月6日ヒロシマ、
昭和20年8月9日ナガサキ、
「規模は」、「被害は」、「影響は」等々、いつでも細かな資料を知ることができる。

しかし、あの時あの場所にいた人は、もちろんそんなことは知らない。
突然ピカっと光ると、街は忽然と消えてしまったのだ。

ニュースも速報もない、
情報など入らない、
だって情報を流すマスコミも一瞬にして消えたのだから。

何がおこったのかわからない、
何がおこったのか理解する術もない、
何がおこったのか受け入れられない、
わからないわからないわからない。
ただ目の前にあるのは地獄絵図の現実。

あの時あの場で生き残った人々は、
その後力強く復興に努力・・・した人もいるだろうが、
大半はただ呆然と、ただ目の前に起きた出来事を受け入れるしかなく、
ただ時間がすぎるままに日々を暮らしてきたのじゃないのかな。

生き残ったことに、逆に悔恨でさいなまれ、亡くなった人にただ祈りをささげるしかなく、
そして、気がつけば時間が経っていた。

何も知らない、何も関係ない多くの人を、こんな目に合わせる必要など絶対ない。
まるで実験のように扱われた沢山の命にもそれぞれに家族があり生活があった。
それを突然一方的に奪いさる道理など絶対にない。



あぁこういうことなんだ・・・。

市井の人々が巻き込まれたこの現実を、
淡々と穏やかながらも真っ向から表現している力に圧倒されたのだ。

これは・・・実は本当に恐ろしい作品だと思った。
でも、それは観る者の解釈に委ねられる。
今まで観たり読んだりした中で、一番難しいなと感じた。

正直切ない重い内容だが、現代版の七波さんが過去から解放され、
きっと皆実さんができなかった意思を受け継いでいくであろう結末に希望がもてた。
そして、ノベライズ版ではその後の「打越さん」の人生が記されており、
幸せな老人になっていたことにほっとした。


映画を観て何となくだが、
私の大好きな映画「LoveLetter」を連想した。

内容は全く違うものだが、辛い過去を受け入れ、そして決別する流れと、
清楚な女性と快活な女性と、まるっきり違うタイプが出てくるあたり、
それぞれ麻生さんと田中麗奈さんがだぶって見えた。

麻生さん、いい演技で良かったなあ。
彼女は、時効警察の三日月さんでコミカルなイメージが強いが、やっぱり女優さんって風格だ。
この映画で色んな賞をもらったというのも頷ける。
もちろん、田中麗奈さんもイメージに合っていて良かった。


まあ、とにかく読んで、観て欲しい。
それしか言えない。

そして、色んなことを感じ取って欲しい。

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